紅葉を見に出かけたり、秋の味覚を味わったり。季節の移ろいを楽しみにしている方も、きっと多いのではないでしょうか。
その一方で、SLE(全身性エリテマトーデス)とともに暮らす私たちにとって、季節の変わり目は、体を少しいたわってあげたい時期でもあります。
夏の疲れがまだ残っていたり、朝晩の寒暖差が大きくなったり。風邪やインフルエンザなどの感染症も、気になりはじめますよね。
「涼しくなったし、少しがんばってみようかな」 「最近疲れやすいけれど、夏の疲れが残っているだけかな?」
そんなふうに感じている方も、いらっしゃるかもしれませんね。
今回は、SLEとともに暮らす私たちが秋を少しでも安心して過ごせるように、気をつけたい5つのポイントと、毎日の暮らしの中でできる工夫をまとめました。できそうなことから、ひとつずつ取り入れてみてくださいね。
※この記事は、一般的な医療情報をもとに作成しています。SLEの症状や治療の内容には、一人ひとり違いがあります。気になる症状があるときは、どうぞ主治医に相談してくださいね。
1. 涼しくなっても、紫外線対策はゆるやかに続けよう
秋になると日差しがやわらいだように感じますが、紫外線は季節を問わず地上に届いています。
SLEでは、紫外線を浴びることで皮膚の症状が出たり、病状が悪化したりすることがあります。とくに光線過敏症がある方は、ふだんから対策を続けていくことが大切です。
「夏も終わったし、日焼け止めはもういらないかな?」
そう思ってしまうのも、自然なことですよね。でも、秋になっても無理のない範囲で、対策を続けていきましょう。
日常生活でできる紫外線対策
- 外出するときは、帽子や日傘を使う
- 長袖の服などで、肌の露出を調整する
- 自分の肌に合った日焼け止めを選ぶ
- 曇りの日も、紫外線を少し意識しておく
- 家の中でも、窓から入る日差しに気をつける
紫外線対策は、外出をがまんするためのものではありません。自分に合った方法を取り入れながら、安心してお出かけを楽しむための工夫です。
体調のよい日は、無理のない範囲で、秋の景色も楽しんでくださいね。
2. 夏の疲れをいたわって、休む時間を大切に
SLEでは、体のだるさや疲れやすさが症状としてあらわれることがあります。
夏の暑さで体力を使ったり、睡眠や生活のリズムが乱れたりすると、秋になっても疲れが残っているように感じることがあるかもしれません。
また、SLEでは日によって体調が変わることもあります。
昨日はできたことが、今日はできない。
そんな日があっても、どうか自分を責めないでくださいね。それはあなたのせいではありません。
がんばりすぎないための工夫
① 予定を詰めこみすぎない 涼しくなって出かけやすくなっても、急に動きすぎず、少しずつ体を慣らしていきましょう。
② 休む時間も予定に入れておく 買い物や通院のある日は、帰ってからゆっくり休む時間もあらかじめ確保しておくと安心です。
③ 次の日に疲れを残さないくらいに 運動や散歩は、体調に合わせて無理のない範囲で。動いたあとはしっかり休んで、次の日の体調もそっと確かめてみてくださいね。
④ 睡眠と生活のリズムを整える できる範囲で睡眠時間を確保し、食事や休息のリズムを整えていきましょう。
疲れが強いときは、無理に動かなくて大丈夫です。休むことも、大切なことのひとつです。
ただ、いつもと違う強い疲れが続くときや、熱などの症状があるときは、「夏の疲れかな」と一人で決めつけず、主治医に相談してみてくださいね。
3. 朝晩の寒暖差と冷えから、体を守ろう
秋は、日中は暖かくても、朝晩は急に冷えこむことがありますよね。
手足の指先が冷たくなりやすい方や、レイノー現象がある方は、冷えに少し気を配ってあげましょう。
レイノー現象とは、寒さや心のストレスなどをきっかけに、手足の指先の血流が一時的に悪くなり、指が白や青紫色に変わる現象です。SLEの患者さんにもみられることがありますが、すべての方に起こるわけではありません。
秋からはじめたい冷え対策
- 脱いだり着たりしやすい上着を用意しておく
- 冷えを感じたら、早めに体を温める
- 手袋や靴下などを上手に使う
- 冷たい飲み物や冷房で、体が冷えすぎないようにする
- 急な温度の変化を、できるだけ避ける
指先の色が変わったり、しびれや痛みが出たりしたときは、無理をせず、ゆっくり温めてあげてくださいね。
強い痛みが続く、傷や潰瘍ができた、指先の色がもとに戻らない。そんなときは、早めに医療機関へ相談してください。
4. 風邪やインフルエンザなどの感染症を予防しよう
秋から冬にかけては、風邪やインフルエンザなどの感染症にも気をつけたい季節です。
SLEそのものや、治療に使うステロイド・免疫抑制薬などの影響で、感染症にかかりやすくなったり、重症化しやすくなったりすることがあります。
ただし、どれくらい注意が必要かは、使っている薬やその量、病状などによって一人ひとり違います。
毎日の暮らしでできる感染症対策
手洗いを習慣に 外出から帰ったときや、食事の前などに、石けんと流水で手を洗いましょう。
人混みでは、状況に合わせてマスクを 混雑した場所や、感染症が流行している時期には、マスクの使用も考えてみてください。
睡眠と食事を大切に しっかり休んで、バランスのよい食事を心がけ、体調を整えていきましょう。
ワクチンは主治医に相談を インフルエンザや新型コロナウイルスなどのワクチンについては、年齢や病状、治療薬などをふまえて相談しましょう。
とくに免疫抑制薬などを使っている場合、生ワクチンは接種できないことがあります。自分だけで判断せず、かならず主治医に確認してくださいね。
熱が出たときはどうしたらいい?
SLEの患者さんに熱が出たときは、感染症だけでなく、病気の活動性が高まっている可能性も考える必要があります。
症状だけで原因を見分けるのは難しいので、熱が出たときは一人で抱えこまず、早めに主治医や医療機関へ連絡して、指示を受けてくださいね。
息苦しさ、胸の痛み、意識の変化などがあるときは、すぐに受診してください。
参考:日本リウマチ学会「全身性エリテマトーデス」
5. いつもと違う体のサインに、そっと気づいてあげよう
SLEは、症状が落ち着いている時期と、症状が出たり強くなったりする時期をくり返すことがあります。
秋になったからといって、かならず病状が悪くなるわけではありません。季節だけで判断せず、自分の体の小さな変化に気づいてあげることが大切です。
こんな変化があったら、主治医に相談を
- 熱がある、または熱をくり返す
- 関節の痛みや腹れが、いつもより強い
- 皮膚の発疹や赤みが強くなった
- むくみが強くなった
- 尿の量や色、泡立ちなどに、いつもと違う変化がある
- 強いだるさが続いている
- 息切れや胸の痛みなど、新しい症状があらわれた
これらの症状があっても、かならずしもSLEの再燃とはかぎりません。感染症やほかの病気が原因のこともあるので、自分で判断せずに相談することが大切です。
とくに、むくみや尿の変化は、腎臓の状態に関係していることもあります。症状が続くときは、次の定期受診まで待たずに相談してくださいね。
体調をかんたんに記録してみよう
毎日こまかく記録しなくても大丈夫です。たとえば、次のようなことをちょっとメモしておくだけでも役に立ちます。
- 今日の体調:よい・ふつう・しんどい
- 疲れや痛み:いつもとくらべてどうか
- 睡眠:よく眠れたか
- 熱や皮膚の症状:変化があったか
- 気になること:主治医に聞きたいこと
記録を続けることが負担になるときは、体調に変化があった日だけでも大丈夫ですよ。
そして、お薬は自分の判断で減らしたりやめたりせず、医師の指示にそって飲みましょう。
参考:難病情報センター「全身性エリテマトーデス(SLE)」
秋を楽しむために、自分のペースを大切に
SLEとともに暮らしていると、季節の変化に合わせて、体調や暮らし方を調整することもありますよね。
周りの人が元気に出かけているのを見ると、「自分もがんばらなきゃ」と感じることもあるかもしれません。
でも、体調は一人ひとり違います。
外出を楽しめる日もあれば、家でゆっくり過ごしたい日もあります。どちらも、自分の体を大切にするための、ちゃんとした選択です。
紫外線対策を続けること。冷えや感染症に気をつけること。疲れたら休むこと。そして、気になる症状があれば早めに相談すること。
全部を完璧にしなくても大丈夫です。できることを少しずつ取り入れながら、自分に合った秋の過ごし方を見つけていきましょう。
無理をしないことも、大切なセルフケアのひとつです。
みなさんが、それぞれのペースで、穏やかな秋を過ごせますように。
あなたの秋の過ごし方も、聞かせてください
秋になると、体調や暮らしにどんな変化がありますか?
「疲れやすくなる」「手足が冷える」「紫外線対策はまだ続けている」など、みなさんの工夫や経験を、よかったら気軽に教えてくださいね。
同じSLEとともに暮らす仲間の経験が、誰かの安心につながるかもしれません。
参考資料・情報リンク
- 難病情報センター|全身性エリテマトーデス(SLE)
- 難病情報センター|SLEの日常生活に関するQ&A
- 日本リウマチ学会|全身性エリテマトーデス
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、一人ひとりの診断や治療にかわるものではありません。症状や治療については、主治医にご相談ください。